『青い鳥』

メーテルリンクの「青い鳥」を思い出しました。これから生まれてくる子どもたちの「未来の王国」へ行き、自分たちの弟として生まれてくる子どもに出会う場面があります。チルチルがその子ども(未来の弟)に、

「そのふくろの中には何が入っているの?なにか持ってきてくれるの?」
「(とても得意げに)僕、三つの病気を持って行くんだ。猩紅熱と百日咳とはしかだよ。」
「へえ、それで全部なの?それからどうするの?」
「それから?死んでしまうのさ。」
「じゃ、生まれるかいがないじゃないか。」
「だって、どうにもならなでしょう?」
 メーテルリンク:「青い鳥」 堀口大学訳 新潮文庫より
           
 私は、未来の王国の子どものような「(とても得意げに)僕、三つの病気を持って行くんだ。」とも、「神様、そんなに愛して下さらなくてもいいのに。」とも思う<域>にはありません。まだまだ、です。

* 

 少し前になりますが、神戸・須磨の殺人事件の余波で、公園や歩道沿いの生け垣が、丸裸に刈り込まれました(見通しを良くする為)。刈り込んだというより、根こそぎ葉っぱを<はぎ取った>ような状況で、残ったのは<枯れ枝の塊>私は大きなショックを受けました。そこに存在する<緑のいのち>が、社会にとっては<街並みの飾り>でしかなかったのかなあと、そして飾りではなく邪魔モノになったとき、始末・処分されるんだなあと、さみしく・かなしい思いをしたのでした。

 でも、<いのち>ってすごいですね!夏のはじめの週末毎の台風がもたらした大雨と、夏の強い日差しで<枯れ枝の塊>から一斉に<芽>が・・・、私にとって春でした。いのちって、賜物なんですね。(何を今更ですが・・・・)
 Sep12,1997

itsumi
アラカルト