キリスト者であるということ

 わたしは熊井監督の描く遠藤の「深い河」を頭に描いていますが、熊井監督の遠藤像とわたしの遠藤像とが、たまたま近いというだけであって、今現在のわたしは小説「深い河」から離れています。

 わたしは大津を日本のcontextの中で捉えるのではなく、インドのcontextの中で捉えるべきではないかと考えます。日本にポジションのある美津子が大津をどう捉えるかです。もっと言えば、日本のcontextの中にある<わたし>が大津をどう捉えるかです。大津を云々ではなく、大津を見る<わたし>を云々しているのです。その<わたしがどう見るか>において美津子の視点を参考にしているわけで、そして熊井監督の視点を参考にしているのです。
 July11,1995

itsumi
深い河