啓蟄

 今日は二十四節気のひとつ「啓蟄」、旧暦の正月が基準で、節分の翌日の「立春」(2月4日)、「雨水」(2月18日)に続いて3番目の節気です。

 太陽黄経が345度で、冬至から76日後になります。そして「啓蟄」の次の節気が「春分」で、冬至の頃より、地球の公転が90度進んだ位置になり太陽の黄経が0度で、昼と夜の長さが同じ12時間、冬至の頃に比べると、啓蟄でも既に朝が早くなって、夕方がかなり遅くなっています。

 「啓蟄」の「啓」は「開く」、そして「蟄」は「隠れ閉じこもる」意味で、啓蟄には冬籠りの虫が這い出るというニュアンスがあります。残念ながら身近なところでは、冬籠りの虫が這い出るのを観察できませんが、数日前から玄関脇のアジサイが、一斉に芽吹き始め、昨日は陽光に輝いていました。

 七十二侯と言って、二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間で表す季節が略本暦にあります。啓蟄の3月5日から、春分の3月20日までの時節を3つに分けで、初侯、次侯、末侯と七十二侯では3つに分けます。

初候:蟄虫啓戸(ちっちゅう こを ひらく)・・・冬籠りの虫が出て来る
次侯:桃始笑(もも はじめて わらう)・・・桃の花が咲き始める
末侯:菜虫化蝶(なむし ちょうと けす)・・・青虫が羽化して紋白蝶になる

 マザーリーフが冬の寒さでダメになって、かろうじて何枚の葉っぱから増やそうとしています。水を張った皿につけると葉から芽が出る無性生殖なので、日当たりの良い室内で正月から育てて、葉から出た芽を植木鉢に入れて2階の日当たりの良い出窓で、どうにか育ち始めたようです。

 2階の出窓に置いていたオリズルランは、どんどん成長して、冬の陽光を一斉に浴びて輝いています。

The trumpet of a prophecy! O Wind,
If Winter comes, can Spring be far behind?

”Ode to the West Wind” , Percy Bysshe Shelley

 英国の19世紀初頭のロマン派詩人シェリーの「西風の賦」(西風に寄せる歌)の末句です。

予言のラッパを吹き鳴らせ、風よ
冬が来たなら 春は間近いと

「冬来たりなば春遠からじ」という文語調のフレーズで有名です。数日前には寒波で冷え込み、まだまだ冬の様相ですが、昨日はガラス越しの陽射しには「春遠からじ」を感じました。

 昨日の夜から曇ったようで、放射冷却がなく、啓蟄の朝は、気温が下がらず、春雨のようなやさしい雨がガラス戸の向こうで、静かに降っています。



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