オルガン コンサート

 久し振りにパイプオルガンの演奏を聴きました。神戸教会のNoon Concertです。

 神戸教会のパイプオルガンは、2001年に設置された辻オルガン製の24ストップでパイプ総数1,438本です。

 「パイプオルガン・ヌーンコンサート」を年4回開催しているようです。神戸教会の前を通ることはあっても、会堂に入るのは三十年ぶりです。震災前のクリスマス・イヴに、仕事帰りに寄った時以来です。徒歩圏内の垂水教会にもパイプオルガンがあって、18ストップでパイプ総数が1116本で、一昨年のクリスマス・イヴに行ったことがありますが、残念ながら垂水教会ではパイプオルガンコンサートのようなものは開催していないようです。

 コンサートホールだと真正面にパイプオルガンが設置されていますが、教会なので正面は説教壇で、向かって右側に設置されています。

 演奏は、片桐聖子さんで、神戸教会のオルガニストだけではなくて、神戸女学院と仁川教会でもオルガニストをされているようです。

 1曲目はヴィヴァルディの協奏曲ト長調をバッハがオルガン用に編曲したもので、足鍵盤を使わず手鍵盤だけの演奏でした。アレグロ・ラルゴ・アレグロと、手鍵盤だけで奏でるパイプの音が、会堂に響いて心地よかったです。

 2曲目はバッハのコラール「イエス十字架につけられ給いし時」BWV621,四旬節・レントが今年は2月14日(水)から入って、イースターにちなむ曲です。足鍵盤も入って、重厚なパイプオルガンの響きを愉しめました。

 その後は、讃美歌から2曲、「 主イエスこそわが望み」(讃美歌21・ 531番)と「主よ、ともに宿りませ」(讃美歌21・218番)で、これらもレントにちなんだ選曲だそうです。

 最後は、バッハの幻想曲ト長調BWV572で、聴き慣れた曲が、大きな会堂に響いて、ただただ圧巻でした。

 神戸教会は、明治7年に設立された、日本でもっとも古いプロテスタント教会のひとつです。日本でもっとも古いプロテスタント教会は、聖公会のウィリアムズが1862年に長崎東山手居留地の英国聖公会会堂ですが、これは居留地内の外国人向けの教会で、まだ当時は禁教時代です。ウィリアムズは立教大学の創立者です。ちなみにカトリック教会では、同じく長崎・大浦の大浦天主堂が1865年の設立で、プティジャン神父でした。

 神戸教会を設立したグリーンは、1810年にアメリカで設立された北米最初の海外宣教組織であるアメリカンボードの宣教師で、1869年に来日して、横浜経由で神戸で宣教することになったようです。当時の神戸には、プロテスタントでは聖公会のウィリアムズが長崎から一時アメリカ帰国後に大阪で宣教して居留地のあった神戸も守備範囲だったようですが、まだ神戸にはプロテスタントの教会はありませんでした。グリーンは1870年に神戸で最初の礼拝を持ち、その後1872年に超教派のユニオンチャーチを設立して初代牧師となっています。ただアメリカンボードは超教派の宣教団体ですが、会衆派や改革・長老派が母体で、教会政治としては、会衆制と長老制となります。ユニオンチャーチには監督制の者もいて、どうも教会運営面で監督制との混乱があったようです。

 結局1874年に摂津第一公会として、会衆制の会衆派教会として神戸教会が設立された経緯があります。ただグリーン自身は、摂津第一公会の設立直後に横浜に移り、ヘボン(ヘボン式ローマ字の考案者)らと共に「翻訳委員社中」に加わり新約聖書の翻訳に取り組んでいます。現在の神戸教会の会堂は、1932(昭和7)年に建設されたものです。

 県庁の近くは古くからの教会が多いです。神戸教会は太平洋戦争も阪神淡路大震災も経て92年前の建物ですが、神戸教会から県庁を挟んで東側にある神戸栄光教会は、プロテスタントのメソジスト系で1886年(明治19年)からの教会で、建物は阪神淡路大震災で被災して建て替えています。

 アングリカン(聖公会)の神戸聖ミカエル教会、ウィリアムズの後の1876年来日したフォスが1881年に教会を設立したのが始まりです。

 カトリック教会も近くにあり、北野方面にカトリック神戸中央教会があります。ここは中山手カトリック教会があった敷地で、中山手カトリック教会は、元々は居留地に1870年(明治3年)に建設された神戸最古の教会でした。ただ震災で被災して、中山手カトリック教会と下山手カトリック教会、灘教会が統合されてカトリック神戸中央教会となっています。

 神戸にはユダヤ教のシナゴーグもあります。日本には東京・広尾と神戸・北野の2ヶ所しかないそうです。在リトアニア領事代理だった杉原千畝が1940年、ナチスドイツの迫害から逃れてきた数千人のユダヤ人に、日本で乗り継ぐための通過ビザを発給したのが「いのちのビザ」となって、多くのユダヤ人が神戸にたどり着いたそうです。

 イスラム教のモスクも徒歩圏内にあります。神戸ムスリムモスクで、1935年(昭和10年)に、日本最初の回教徒寺院として、建物もそのままだそうです。

 そして日本で唯一のインド・ジャイナ教寺院が北野にあります。

 オーソドックス(東方教会)の神戸ハリストス正教会も北野にあるのですが、ちょっと遠いので、パイプオルガンコンサートに間に合わないようで、行くのを断念して途中で引き返しました。場所は一宮神社のすぐ北です。

 神戸は幕末に開港して、そして居留地もあったので、キリスト教のカトリック、プロテスタント、アングリカン(聖公会)、オーソドックス(東方教会)そしてイスラム教のモスク、さらにジャイナ教寺院と、いろいろな民族や宗教の坩堝のような感じで、県庁周辺や北野に多くの宗教施設があり、また生田神社と一宮神社、三宮神社、それに四宮神社もあります。

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