Que sais-je? 

 ” Que sais-je? “という言葉を初めて知ったのは、高専の4年生の倫理・哲学の授業でした。クセジュというのは、「私は何を知っているだろうか?」というフランス語だそうで、モンテーニュの随想「エセー」の中で、人間そのものを率直に記述する試みの中で、” Que sais-je? “という問いをしている・・・と授業で聴いただけで、ちゃんとモンテーニュの「エセー」を読んだことはないです。

 文庫クセジュ (Collection Que sais-je? ) は、第二次世界大戦中にフランス大学出版局によって刊行が開始され、モンテーニュの思想をもとに、古典的な教養から最先端のテーマに至るまで、真理を追い求めようとする試みとして刊行されたようです。その日本語版として、1951年に白水社によって「文庫クセジュ」という名称で刊行された、というような話を授業で聴いて、何冊かは持っていたのですが、断捨離で本を整理する中で手放してしまったようで、気が付くと手元に文庫クセジュが一冊もありませんでした。どの文庫クセジュを持っていたのかという記憶もないですが、「ない」とわかると、急に文庫クセジュが読みたくなりました。でも今は装丁が変わっているようで、図書館で予約しました。

 中央図書館の所蔵だったのが「光の話」(文庫クセジュ48 ,1952年)と「音楽の話」(文庫クセジュ88,1953年)で、共に120円で、この装丁の文庫クセジュの記憶はないです。見覚えのある装丁だったのが西図書館の所蔵だったのが「旧約聖書」(1968年、1981年12刷)で650円でした。学生時代に買っていたのは、当時はちょっと高めの価格だった、この価格だった頃だと思います。1986年には「旧約聖書・改訂新版」が出て、これは装丁が変わって今の文庫クセジュと同じ装丁になっていました。ちなみに今の文庫クセジュは1320円になっていました。

 「音楽の歴史」は、シャンピニュルの著作を吉田秀和が翻訳しています。吉田秀和は太平洋戦争の直後ぐらいから訳書を出しており、この「音楽の歴史」が出た頃から、自分の著作を出しているようです。私の愛読書「LP300選」は1981年の新潮文庫ですが、元は「わたしの音楽室――LP300選」で新潮社から1961年に出ていたもので、吉田秀和の初期の著作だったようです。

  「著者検印」がありました。久し振りに著者検印の本を手にしたように思います。

Googleマップを元に作成

 白水社の場所も移転していました。日大理工学部の南だったのが、駿台下の交差点の近くになっていました。

 思わず文庫クセジュを3冊も予約しましたが、堅い内容の本なので、返却期間の2週間では読めそうにありません。

itsumi
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