消された漱石

 数日前に熟字訓のことで、言葉に関することをいろいろ調べる中で、言葉に関する本を神戸市図書館の検索サイトで調べました。今現在の日本語学者の今野真二の本を検索すると面白そうな本がヒットしたので、さっそくネットで予約して、垂水図書館で受け取りました。

 「消された漱石」というタイトルにそそられて、読み物的な本かと思えば、A5判で428ページ、2008年で4800円の分厚い専門書でした。

・「漱石が原稿用紙に書いた自筆の原稿」と、最初に「新聞掲載されたテキスト」とを比較
・「新聞掲載されたテキスト」と、その後に「書籍として出版されたテキスト」とを比較
・漱石自身が、自らの原稿から消した(訂正した)テキスト

「消された漱石」という本のタイトルは、最初の漱石の手書きの原稿から、漱石自身が消したもの、そして印刷時の過程で消されたもの(新聞連載時と書籍刊行時)を探求した記録で、とても気軽に読める本ではなかったです。

 漱石の小説「それから」の新聞連載が1909年(明治42年)6月27日の東京朝日新聞で連載として始まっており、この「消された漱石」の刊行が2008年で「それから」百年と題した章もありました。

 「消された漱石」の他に、一緒に今野真二の本「うつろゆく日本語をよむ」と「振仮名の歴史」も一緒に借りて、こちらは新書版と文庫本で、読み物として読めます。

 神戸市図書館の検索サイトでは気が付かず、そのまま予約をしてしまいましたが、届いた本を見て「振仮名の歴史」は手元にあって何度か読み返している本でした。買ってから2枚目のCDだと気付いたり2冊目の本だと気づくことがありますが、今回は図書館の本の貸し出しでしたので、まだ良かったです。手元の今野真二の本は「百年前の日本語」と「振仮名の歴史」の2冊でした。

 「百年前の日本語」の内容は、今回借りた「消された漱石」の中の、最初のイントロダクション的な「近くて遠い明治」という序章と、『 「それから」百年 』という終章のエッセンスを読み物にしたもののように感じます。

 タイトルにそそられて気軽に読める新書や文庫と思い込んで借りた「消された漱石」が、元原稿や、明治時代の文章の例を引用して、根拠に基づく論述的な内容で、専門性も高く、かなり重たい内容だとわかって、パラパラめくって。それ以上読み進んでいません。

itsumi
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